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08.22.23:22
誰にだって夢がある。
自分にとっての1つの夢は「起業すること」 それが目的となるのは良しとしないが、一つの目標ならば悪くない 実は口外していないが、もう一つ変わった夢がある。 それは死ぬまでに「一冊本を出すこと」だ 小説を読むことは好きだが、時に書きたくなる瞬間がある。 執筆は恒久的な趣味なのだ。良し悪しは別として。 先日、三井物産の商社マンが直樹賞か何かをとった。 仕事しながら、趣味で書き続けた結果だというが、かなりの理想像だ。 ところで皆さんはSSの世界を知っているだろうか。 スクリーンショットではなく、Short Shortの略。 有名な作家を挙げれば星 新一。 曰く、短い中でストンと落とす。そのスタイルは落語や掛詞にも似ている。 最近自分のブログが面白くないと感じたので、少し新たな一面を見せてみる。 もちろん、良し悪しは別として。 これは2年ほど前に書いたSSの一つ。その中でも最も読みやすく明快なものだ。 「名言クラブ」 ここはとある学校の二階にある一室。
「名言クラブ活動中」と書かれたプラスチックの看板が、ドアノブにかけられている。
いつものメンバーがいるのだろうと思いながらも、その男は扉を開けた。
「どうかね。創作活動は順調かな? パスカル曰く、人間は考える葦だという。日々考えることこそ、人間である証なのさ」
男はこの名言クラブの部長だった。高校生であるから、風貌に威厳があるわけではない。だが彼の放つ言葉には、何か深いものが含まれている気がしてならない。
三人の部員の視線は瞬時、彼に集まる。それは羨望の眼差しだった。
「部長っ! だめです、なかなか思いつきません」
部員の一人は焦燥の色を浮かべながら言った。今日はそれぞれが独自に作った名言を発表する大事な日。名言クラブはこのためだけに活動しているといってもよい。
「大丈夫だ。かのモーリアックは言っている。私たちの人生は、私たちが費やした努力だけの価値がある、とな。つまり何事にも意味はある。だから、焦らなくてもいいのだ」
「は、はぁ……。つまり、急いては事を仕損じる、と?」
「ばかものっ! それはただのことわざだ! いいか、私達が学ぶべきは名言なのだ。そしてこの世に新たな名言を作り出すのだ! 断じて、断じてことわざとは違うのだあああっ!」
「す、すいません!」
部長の鼻息は荒かった。部長がなぜここまでことわざを嫌うのかは分からない。しかし、部員の男は申し訳なさそうに項垂れるしかなかったのだ。
「さて、今日は定期発表会の日ではあるのだが……諸君らに重大な発表がある。かの詩人ハンス・カロッサはこう言った。人生とは出会いであり、その招待は二度と繰り返されることはない。そうだとも、我がクラブに新入部員が加わるのだ!」
「おおおおっ!」
部長を除く三人の声が重なった。部屋の中に活気が満ち溢れる。
「入りたまえ!」
扉を開けて入ってきた少年は、ぺこりと頭を下げた。顔立ちは整っていて、とても聡明な空気を漂わせている。
「彼は我が名言クラブの希望だ! あのマルティン・ルター曰く、希望は強い勇気であり、あらたな意志である! 彼のこれからに期待しようじゃないか!」
三人から溢れんばかりの拍手が沸き起こる。少年は照れくさそうな顔を浮かべ、もう一度頭をぺこりと下げた。
「では、早速なのだが。今日は名言発表会でね。自分で作り出した名言を発表する日なのだ」
「部長、せっかくですから彼にも作ってもらってはいかがでしょうか。百聞は一見にしかずといいますし……あっ」
「ばかものっ! 何度いったら分かるのだ! 我々が活用すべきはことわざではなく、名言なのだ! 心に残り、戒めとなり、人生の助けとなるもの! 大衆の皆が知っていることわざなどとは違うのだ! そう、例えばだ! あのアーサー・キットはこういったじゃないか。私は常に学んでいる。墓石こそ私の卒業証書だ、と! こういうものを私達は残さねばならんのだあああっ!」
「はっ、はいっ! すいませんでした!」
「はぁはぁ……わ、分かればよいのだ。……さて、少年。やってみるかね?」
少年は部長の怒声にたじたじになりながらも、「やってみます」と力強く言った。
「さぁ皆、ナポレオンの言葉を聞く兵士のように、耳を傾けろ!」
少年はこほんと咳払いをし、一つの名言をこのクラブにもたらした。
『名言は作ろうとして生まれてくるものではない』
SSを楽しむ一つの要素として、理由を考えてはいけない。 時に考える必要もあるが、対外それは作者の都合に捻じ曲げられる。 少しでも楽しんでいただければ幸いです。 PR
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結構本を読むのですが、SSには手を出したことがなかったので新鮮です。
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>東雲さん
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